SPYAIR
眩い輝きを放つ「MILLION」という名の「近未来設計図」
《L: KENTA(Dr) MOMIKEN(B) IKE(Vo) UZ(G&Pro) :R》
プロフィール
愛知県出身4人組ロックバンド。インディーズ時代にストリートライブでキャリアを重ね、2010年6月の100本目のライブでは2000人を集めた実力派。同年シングル「LIAR」でメジャーデビュー。2012年12月18日、日本武道館公演を大成功させた。8月にリリースしたアルバム「MILLION」はSPYAIR史上初のオリコンウイークリー2位を記録。秋から初の全国ホールツアーを行う。
オフィシャルHP
http://www.spyair.net/
ライブ情報
SPYAIR TOUR 2013 "MILLION"
2013.12.1(日) 札幌・サッポロファクトリーホール
開場17:30/開演18:00
俺らはこの間のツアーはストイックな気持ちというのはほとんどなかったんです。
今日はIKEさんにお話を伺います。4月27日・土曜日には札幌・ペニーレーン24でライブがあったんですが、昨年12月の日本武道館公演から短期間で更に進化しているのに感動しました。新曲とすでにライブで何度も演奏されている曲の差も感じませんでした。
「いやいやいや、そんなことはないです。自分たちでも新曲は甘いなとか慣れてないとかは感じてるんですよ(笑)。でも武道館で演奏した俺らのスタンスとこの間のツアーでのスタンスでは大きく異なる点があって、音をしっかり届けるというベクトルは一緒なんですが、その想いは違うんです。音をしっかり届けるということを考えた時に、「音楽」をやらないとダメなんですよ、根本的なことなんですが。俺らはこの間のツアーはストイックな気持ちというのはほとんどなかったんです。ストイックに練習して演奏するのも意味のあることだと思うんですが、やることしっかりやってライブに向き合ってその瞬間を楽しむ…ツアーをやっていること自体を楽しむというポジティブな精神状態でライブをしていたので、それが音に表れていたんだと思います。人が100%に近い状態のパフォーマンスを出せる時というのは、いい意味で興奮とリラックスの間なんですよ。そういう状態がうまく作れたので、演奏もうまくいったのかなと思います。ツアーの中でもブラッシュアップ出来たのも良かったですね。」
7月にはシングル「現状ディストラクション」がリリースになりましたが、ヘヴィとキャッチーが絡み合う「これぞSPYAIR!」という1曲ですね。
「そうなんです、これぞSPYAIR!なんです。いわゆるストレート球ですね。これは作曲者のUZのサウンドコントロール…彼のイマジネーションは凄くセンスがあるので、SPYAIRというものを捉えた上で楽曲を制作していると思います。実は今年出たシングル(他には「サクラミツツキ」「虹」)はアルバムの一部分なんです。なので今回のアルバムのコンセプトがあるとすれば「SPYAIRそのものを表現する」ということなんです。」
「MILLION」というアルバムは可能性の塊なんです。
そのアルバムというのが8月7日リリースの「MILLION」ですね。
「UZがアルバム曲を作曲する時にパソコンにフォルダを作っていたんですが、そのフォルダに「MILLION」というタイトルをつけていたんです。この3枚目のアルバムは俺らにとって重要になるという意識はあったでしょうし、これをイメージとして「100万人の人に届けたい」というのがあってこのタイトルになったそうです。でも結果的に「MILLION」になって俺は気に入っていますし、付加価値をつけられるアルバムだと思うので、可能性しかないタイトルがつけられて本当に良かったと思います。可能性の塊なんです。」
このタイトルを見た時にSPYAIRの決意を感じました。そして1曲目には「OVERLOAD」というペニーレーン24のライブのオープニングを飾った1曲が収録されています。最初にサイレンが鳴った瞬間にガッツポーズでした(笑)。
「ありがとうございます。「あれだー!」みたいな(笑)。役割的な話をするとこの曲はアルバムがスタートするためのSEなんですよね。この曲が出来上がった時に、UZの中でアルバムの構想が練られ始めたんです。UZがラフで上げて来た時に、すでにサイレンの音も入っていたんですが「めちゃくちゃいいから、アルバムの1曲目に入れたらヤバいアルバム出来るよ」なんて会話を移動中にしていたんです。まさにその構想がベースになってアルバムが組みあがったんです。今回アルバムを制作するにあたり、UZが設計図を書いてくれたんですよ。1曲目はこう、2曲目はこう、みたいな。なので自分たちが今何を作っているのかがわかりやすかったんです。一本軸を置くことで共通認識を持てたのは大きかったですね。「MILLION」と名付けられた設計図に基づいて俺がやることは「歌うこと」だったんです。信じてるんですよ、アルバムや楽曲に関してはUZが絶対的なセンスでコントロールしてくれる。だから俺は「歌う」。意識が一つに絞れたのはありがたかったですね。」
8曲目に入っている「Supersonic」ではそのUZさんがラップを披露しています。
「この曲はアルバムに必要不可欠だったと思っています。ヴォーカリストの声というのは声色を変えても同じ帯域なので、どうしても聴いている方は疲れて来るんです。それで必要だったのが「Are You Champion? Yeah!! I'm Champion !!」の女性の合いの手だったり、UZのラップだったんです。別のヴォーカルの声。リピートをかけて何回も聴けるアルバム…名盤を目指す上で絶対に必要不可欠だったんですよね。」
実はその次に入っている「雨上がりに咲く花」が個人的にはこのアルバムのハイライトなんです。。
「え?それは意外です(笑)。この曲はアルバムの中でも異質な要素があるかもしれないですね。独特の浮遊感というか。音楽知能の高いサウンドにも仕上がっていると思いますし、メッセージ的にも一番カオスな感情を抱えているんです。SPYAIRの曲というのは大体答えがあるんですが、この曲には全く答えがない…。「自分をどうしたらいいかわからない」というところで感情が止まっているんです。戦っている場所・魅力的な場所というのは綺麗なものと汚いものが混在していると思うんです。ヴォーカリストとして気をつけたのは、メッセージがカオスだからこそ、一番綺麗に歌おうと。気に入ってもらって嬉しいです。」
※IKEさんは筆者がヘヴィ好きだと思っていました(笑)。
この曲の次が「虹」です。雨上がりと言えば虹…ですよね。
「これ、奇跡的なんです。MOMIKENが意図した部分があったかどうかは謎なんです。「雨上がりに咲く花」というタイトルは最後の最後で決まったので。CDの仕上げのマスタリングの時にアルバムを通して聴くんですけど、「雨上がりに咲く花」があることで「虹」が変わったんですよね。これが「アルバム」なんだなと思いました。俺らは「アルバム」という単位の一つの作品を提示したいんですよ。ここにこれまでの経験がすべて詰まっているので、俺らにとっても重要なアルバムですし、これが世の中的に1stアルバムになるとも思っています。これまでの作品の中で一番広がるのも想像出来ているので、初めてSPYAIRのCDを手にする人もたくさんいると思うので、SPYAIR第1章の代表作です。この作品でSPYAIRの第1章は終わりなんです。ここから作っていく作品は全く別のベクトルになるので、これと同じような作品はもう二度とないと思います。」
北海道に帰ってくると「ただいま」という言葉が、自然に出て来るようになってきました。
12月1日・日曜日に札幌・サッポロファクトリーホールでライブがあります。
「ド派手にやりますよ(笑)。ここから「MILLION」に付加価値をつければつけるほど、俺らの活動の幅が広がって豊かなものになっていくので、このアルバムがすべてを握っているかなと思います。」
それでは最後に北海道のファンの方にメッセージをお願いします。
「北海道の皆さん、いつもありがとうございます。ここに帰ってくると「ただいま」という言葉が、自然に出て来るようになってきました。それは俺にとって凄く心休まることですし、安心感をいただいています。そのお返しは音源とライブでしっかりしていきたいと思っているので、是非12月1日、サッポロファクトリーホールに遊びに来てください。そして「MILLION」をたくさんの人に聴いてもらいたいですし、一人一人に届けたいと思っているので、手に取ってみてください、よろしくお願いします。」
インタビュー後記
日本武道館公演から8か月、この短期間で更なる急成長を遂げたSPYAIR。その証明が3rdアルバム「MILLION」だ。この「MILLION」を制作するに当たり、サウンドの要であるUZさんは設計図を書いて、バンドメンバーにこのアルバムの最終形を説明していた。その結果完成したのがSPYAIRの未来を眩く輝かせる、とてつもなくハイクオリティな作品だ。キャッチーなメロディにヘヴィなギター、ソリッドなリズム隊と「これぞSPYAIR!」という楽曲の嵐。IKEさん曰く「SPYAIR第1章の締めくくり」となった作品は、SPYAIRの「万人に自分たちの音楽を伝えたい」という決意が込められた「近未来設計図」だった。(橋場了吾)
「MILLION/SPYAIR」
(2013.8.7発売/¥2800(tax in)/AICL2561)
1.OVERLOAD
2.Turning Point
3.現状ディストラクション
4.サクラミツツキ
5.Winding Road
6.Are You Champion? Yeah!! I'm Champion !!
7.STAND UP
8.Supersonic
9.雨上がりに咲く花
10.虹
11.16 And Life
※初回限定盤A(¥3500(tax in)/AICL2557-2558/DVD付)、初回限定盤B(¥3300(tax in)/AICL2559-2560/DVD付)も同時発売
※11月13日にはニューシングル「JUST ONE LIFE」もリリース予定
CDの購入はこちら → 【SAPPORO MUSIC NAKED】Amazon Store
- 2013.09.25 Wednesday
- MUSIC NAKED(ハダカの告白)
- 21:37
- comments(6)
- -
- by Ryogo Hashiba