トクマルシューゴ
孤高のシンガーソングライターによる「解釈の拡大による焦点合わせ」という逆説
トクマルシューゴ(Vo&G)
プロフィール
東京都出身。ギターと玩具を主軸に無数の楽器を演奏する音楽家。楽曲の全てを作曲、演奏、録音までひとりで作り上げている。 2004年、アメリカ・ニューヨークのインディーズレーベルより1stアルバム「Night Piece」をリリース。無名の日本人・日本語の歌詞であったにも関わらず、各国のメディアで絶賛を浴び、世界中から注文が殺到して初回プレス分は瞬く間に売り切れる。以降、ヨーロッパやニュージーランドでもアルバムをリリースし、世界規模で活躍中。2011年よりTONOFONを主催、フェスやソロ企画を開催中。
オフィシャルHP
http://www.shugotokumaru.com/
「In Focus?」のテーマを考える時に、曲が沢山出来ていたのでまとめようとしたんですが、全然まとまらなくて(笑)。
トクマルさんにお話を伺うのは2年ぶりとなります。その時は時計台ホールでライブがありましたね。
「良かったですね、時計台ホール。子供の頃に北海道一周旅行をして、時計台への憧れもありましたし。その時の記憶が残っていたので、僕はあの場所で出来て本当に嬉しかったです。」
その2か月後にはRISING SUN ROCK FESTIVALにも出演されました。
「ステージ(MOON CIRCUS)の最初の出番だったんですよね。メンバー皆も前向きな気持ちで臨んだので、凄い楽しかったですね。二度でも三度でも出たいフェスです。お客さんも楽しんでくれていたようなので良かったです。」
この2年間はトクマルさんにとってどんな2年間でしたか?
「アルバム(「PORT ENTROPY」)が出てから2年間、ずっと作り続けていてようやく形になったというか。やりたいことがどんどん湧いてきたので、とにかくいっぱい曲を作って、それをまとめるという作業をしていた感じですね。今年の頭くらいから本格的にアルバムにしていこうと思って、一人で閉じこもって制作していました。」
11月7日に2年ぶりのアルバム「In Focus?」がリリースされましたね。
「アルバムのテーマを考える時に、曲が沢山出来ていたのでまとめようとしたんですが、全然まとまらなくて(笑)。ただそのまとまらないこと自体が楽しくて。アルバムとしてはどうなんだろうなという雰囲気はありつつ、このまま出してみたら面白いんじゃないかとも思って、結果「?」をつけたんです。」
「PORT ENTROPY」とは色々と違いがありますよね。
「今までやったことないことをやってみたいという気持ちがあって、それをどんどん叶えていくという…例えば録音方法を変えてみるとか使ってみたい楽器を使って録音してみたりとか。マイクを新しくして色々な録り方を試したり、外で録音したりしましたね。僕はギターでコードをジャーンと鳴らして曲作りをするよりも、色々想像してから作る方が好きなので、メロディが思いついた段階で「あの録音方法を試してみよう」という組み合わせでどんどん作っていくんです。なので今回はわりと普段やっていないことが多いですね。デモという段階があまりなくて、そのままCDになるという感じです。」
そういうアイディアはどういう時に湧いてくるんですか?
「いや、あまり湧いてこないですよ(笑)。でもふとした瞬間ですかね。楽器屋さんで新しいマイクを見たら、こういうマイク面白そうだなと思って、そこからの発見です。海外でライブをすることも多いので、そこで楽器を買ってくることも多いですね。」
また北海道にツアー、フェスで来られたらいいなと思っています。
「In Focus?」はいわゆる普通の楽曲とインタールードが混在しているアルバムですよね。
「曲作りの始めの段階では歌モノを作ることはあまりないんです。まずインストを作ってみて足りなかったら歌を入れてみるという形ですね。なのでインストの方が多いんですよ。それでインスト楽曲をインタールード的に使って、アルバムとしてのまとまりを保つというやり方を採りました。」
個人的には「Tightrope」というミドルテンポの楽曲に惹かれました。
「「Tightrope」は今までやったことのなかったギターの弾き語りですね。それを敢えてやってみました。僕も凄く気に入っている曲です。」
2年前にお話を伺った時には北海道のマグロが大好きとおっしゃっていましたが(笑)。
好きですね(笑)。最近改めて気づいたんですが、僕はチョコレートの中でロイズが一番好きなようです。北海道に来た時は必ず買い込んでいくので「誰へのお土産?」と聞かれるんですが、全部自分で食べているんです(笑)。」
それでは最後に北海道のファンの方にメッセージをお願いします。
「また北海道にツアー、フェスで来られたらいいなと思っています。「In Focus?」もたくさん聴いてもらえると嬉しいです。よろしくお願いします。」
インタビュー後記
何とも面白い発想をするミュージシャンである。トクマルシューゴさんはいつも我々リスナーを驚かせるアイディアを提供してくれる。夏フェスでは裏で演奏しているミュージシャンの曲をカバーしてみたり、おもちゃのドラムをライブに導入してみたり。そして今作「In Focus?」でも録音方法や楽器などで新たな方法論が使われている。さもすれば音楽の拡大解釈に繋がってしまうようなことでも、トクマルシューゴ流のアレンジで焦点を合わせてしまう。日本のみならず世界規模で評価が高まる理由、それは逆説を真実にしてしまう実力があるからなのだろうと再認識した時間だった。(橋場了吾)
「In Focus?/トクマルシューゴ」
(2012.11.7発売/¥2500(tax in)/PCD18690)
1.Circle
2.Katachi
3.Gamma
4.Decorate
5.Call
6.Mubyo
7.Poker
8.Ord Gate
9.Pah-Paka
10.Tightrope
11.Helictite (LeSeMoDe)
12.Shirase
13.Micro Guitar Music
14.Down Down
15.Balloon
※初回限定盤(¥2900(tax in)/PCD18688-9/2CD)も同時発売
CDの購入はこちら → 【SAPPORO MUSIC NAKED】Amazon Store
- 2012.11.09 Friday
- MUSIC NAKED(ハダカの告白)
- 19:00
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- by Ryogo Hashiba