MAY'S
Undisputed Divaが辿りついた苦悩と努力の末の「Smiling」
《L: 河井純一 a.k.a. NAUGHTY BO-Z(Track Maker) 片桐舞子(Vo) :R》
プロフィール
片桐会片桐流民謡の家元である片桐舞子と河井純一 a.k.a. NAUGHTY BO-Zによるユニット。専門学校当時にクラスメイトだった二人が、学校の課題提出のためにMAY'Sを結成。ユニット名の由来は二人の共通点が同じ「5月生まれ」という意味から。2008年にシングル「My Everything」でメジャーデビュー。
オフィシャルHP
http://www.clubmays.com/
今の自分を出来る限り出せる方法を必死に考えてレッスンして、気持ちを切り替えた時から凄く前向きになれましたね。
片桐さんにお話を伺うのは1年4か月ぶりになります。その間に去年9月に札幌での初のワンマンライブがありましたね。
「札幌はめちゃくちゃ熱かったんですよ(笑)。凄く熱かった中で、お客さんの顔が後ろまで見えて、その風景を今も憶えています。あと、会場から出た時にかなりの人数の方が待っていてくれて、皆とあいさつしたのを憶えていますね。」
そのライブの直後に片桐さんの喉の調子が悪くなったというニュースが飛び込んできてビックリしました。
「10月の末ですかね、手術をすることになって少しの間歌えなくなるということで活動を休止しました。振り返ってみると、しんどいなと思いながら歌っていた期間も辛かったんですが、これ以上歌って酷くなってからだと手術しづらくなるということだったので、私らしく気持ち良く歌えるようになりたいという気持ちを持って手術を受けました。手術をすることに対する不安ももちろんあったんですけど、ライブをキャンセルしないといけなかったり、待ってくれていた人たちにとっては残念なニュースになってしまっただろうなというショックがありましたね。10月末に手術して年内は歌えません、という診断だったので、その間は音楽を素直に聴けなかったんです。聴くと歌えなくなっちゃうんですけど、歌えない…そのジレンマがストレスになっちゃっていたので。なので他に出来ること、音楽との別の部分でやりたかったことということでロンドンに語学の短期留学に行ったりしていました。そして年が明けて、今日から歌っていいですよ、と言われてからが一番大変でした。」
声を出す恐怖感ですか?
「そうですね、いきなり大きな声を出してまた喉が潰れちゃったらどうしようとか。あとは全く音のコントロールが出来なくて。私は声帯結節がある状態で歌っている期間が長かったので、歌い辛い状況で歌うことに体が慣れていたんですよね。喉が綺麗になって歌いやすい状況になっているのに、逆に力が入りすぎて喉が締まって声が出なかったんです。今までの自分の積み重ねはあるんですけど、今の自分を出来る限り出せる方法を必死に考えてレッスンして、気持ちを切り替えた時から凄く前向きになれましたね。」
それは壮絶な戦いがあったと想像します。
「手術自体は凄く簡単な手術で、手術をすれば喉は綺麗になると言われていたからこそ、なかなかうまく歌えない時期には「手術しない方良かったんじゃないか」と思ったこともありました。でも私にとっては重大な手術だったんですけど、復帰に向けて頑張っていることがこれから先の自分にとってもいいことだと思ったんですよ。弱い時の気持ちって、自分がそういう状況に立たないとわからないこともあるので、それが今までよりもわかってあげられるようにはなったのかなと思います。」
自分たちのやりたいこと・歌いたいことを制御せずにやるとこうなります、というアルバムが「Smiling」です。
ついに復帰第一弾アルバム「Smiling」が6月13日にリリースになりました。これまでのMAY'Sの作品の中で一番振り幅が広いアルバムだと感じました。
「広くなっちゃいましたね。今までのアルバムの中でも(バランスなどを)考えずに作ったんですよ。何も狙ってなくて、緻密な計算もなくて、迷いもないんです。自分たちのやりたいこと・歌いたいことを制御せずにやるとこうなります、というアルバムなんですよね。なのでまとまってなくていいかなという結論でした(笑)。この雑食な感じというか、色んなテイスト・歌詞を二人でやってまとまっているのがMAY'Sらしいのかなと。私の復帰第一弾ということもあって、とにかく自由に楽しんでやろうというのが一番のテーマでしたね。」
大好きな曲目白押しのアルバムなんですが、「SKY」という曲は聴いた瞬間に痺れました。
「ありがとうございます!この曲のサビの部分は前のアルバム(2011年2月リリースの「Cruising」)を制作中に鼻歌で歌っているんですよ。ロサンゼルスの空の下で街中の雑踏もそのままにポータブルプレイヤーで録音したのが元になっているんです。なので自分の中ではこの歌詞に最初は深い意味を持たせていなかったんでしょうね。常に何となく思っているようなことが口に出てきてメロディを付けた感じだったんです。「Cruising」が出た後すぐに大震災が起こって、予定していたツアーを延期することになった時に、皆を元気づけられるような歌を歌いたいと思った時に「泣いて泣いて泣き止んだらいつか晴れる気がするよ」という言葉が、私が歌って上げられることかなと思ってライブツアー限定で歌っていたんです。その後に私が活動休止することになって、私が皆に歌っていたことが自分自身にダイレクトに刺さってきてしまって、へこんでどうしようかなと思っている時も自分自身が前向きに歌っているんだから大丈夫だ!って凄く支えになったんです。なので復帰したら一番最初に必ずこの曲を完成させようという気持ちでした。」
あ、それで聴いたことがある様な気がしていたんですね(笑)。
「そうなんです(笑)。頭サビからAメロに入るまでは、ライブの時と同じ流れなんです。鼻歌からライブ限定の曲になって、アルバムのメインの曲になるという不思議な感じですね。」
そして「今宵、月の下で feat.上妻宏光」ですよ。「Daydream」という三味線とコラボした名曲を生み出したMAY'Sならではの1曲ですね。
「ありがとうございます。実は「DAYDREAM」でコラボしていた津軽三味線奏者の木下しんいちさんと上妻さんは凄く仲がいいんです(笑)。私は二人の三味線が大好きで、二大好きな三味線奏者の方とコラボ出来たんですよ。上妻さんは他のジャンルとコラボするのが凄く上手で、三味線でどうしてこのリズムが取れるんだろうというくらい素晴らしいテクニックが凄まじいなと。実際レコーディングで生で見て感動しました。私のバックグラウンドには民謡があるので、日本の大切な文化がもっともっとナチュラルな立ち位置な楽器として聴いてもらえるといいなと思っています。」
同時に「Remaking」というリミックスアルバムもリリースされましたが、歌詞が全部英語詞になっていますね。
「歌い直しちゃってる時点でリミックスなのかと(笑)。やっぱり「リメイク」の方がピッタリかなと思います。二段階変化しているのがMAY'Sのリミックスらしいなと思うので、新しいMAY'Sというアーティストとして聴いてもらえると嬉しいです。聴きながら何となく口ずさめるのがいいかなと思います。」
それでは最後に北海道のファンの方にメッセージをお願いします。
「北海道と言えばやっぱりジンギスカンです(笑)。毎年必ずライブで訪れている北海道という場所で、本当に私自身も元気な歌声を聴いてもらいたいという気持ちが強いです。近いうちに北海道でライブが出来たらなと思っているのでアルバムを聴いて待っていてください。」
インタビュー後記
昨年9月に行われたMAY'Sにとっての北海道初ワンマンライブでは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたMAY'S。あの日の記憶が鮮明な時期に、片桐さんの声帯結節の手術のための活動休止が発覚。一時はあの歌声はもう聴けないのでは?という心配もあったが、以前にも増した強靭な歌声で見事復活してくれた。「Smiling」という1年4か月ぶりのオリジナルアルバムにはMAY'Sならではのバラエティに富んだ楽曲が揃い、その中で苦悩と努力を経験したヴォーカリストだけが表現しえる幅広さでリスナーの琴線に響く歌声を聴かせてくれている。そして聴き逃せないのはそのヴォーカルを引き立たせているトラック。トラックメイカーNAUGHTY BO-Zさんが片桐さんの復帰までに、しっかりと腕を磨いていた証明をしてくれている。ついに帰って来たUndisputed Diva。復帰の先に待っていたものはファンの皆の「Smiling」だった。(橋場了吾)
「Smiling/MAY'S」
(2012.6.13発売/¥3000(tax in)/KICS1765)
1.Intro 〜Prologue Of Smiling〜
2.SKY
3.Smiling
4.CrazyAboutYou
5.Devil's Girlfriend
6.あなたを愛してる feat. 中村舞子
7.日曜日の歌
8.BONDS
9.Bad Man feat. DOBERMAN INC
10.今宵、月の下で feat. 上妻宏光
11.I Remember You
12.Honey
13.YOU & I feat. LL BROTHERS
14.夏がくれたストーリー
15.運命のバラード
16.Outro 〜Keep On Smiling〜
17.STAY TOGETHER / NATURAL8[Bonus Track]
※初回限定盤(¥3500(tax in)/KICS91765/DVD付)も同時発売
CDの購入はこちら → 【SAPPORO MUSIC NAKED】Amazon Store
- 2012.05.28 Monday
- MUSIC NAKED(ハダカの告白)
- 19:00
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- by Ryogo Hashiba