【地方創生・北海道】北海道は地域発展のモデルケース…小磯修二・北海道大学公共政策大学院特任教授(前編)

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    首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのように先代からの伝統を引き継ぎながら、新たな事業展開を図っているのでしょうか?そこで、北海道札幌市に住む筆者が北海道の企業の社長や団体の代表者に「地方創生」について伺っていきます。

     

    今回は霞が関での官僚経験を経て釧路公立大学教授・学長を歴任、そして現在は北海道大学公共政策大学院特任教授として教鞭を執る小磯修二さんにご登場願いました。小磯さんは大学時代に北海道の可能性を感じ、地方活性化に関わる仕事を追求し現在の『地方が輝くため』(小磯さんの著書のタイトルにもなっています)の活動を行っています。前編では、小磯さんの現在の活動と地方創生のつながりについて伺いました。

     

     

    『空間の格差』への意識が低い日本

     

    現在の小磯さんの活動はどのようなものですか?

    「地域の活性化……専門的にいうと地域開発政策をテーマに研究をしています。大都市と地方を比較すると、大都市に「ヒト」「モノ」「カネ」が集積していることがわかります。今の市場経済システムの中では、集積が集積を呼んでいるんです。その集積のメリットが大きいため、大都市から距離のある地方にはハンディがあります。地域の活性化のためには、その地方のハンディを配慮した国の政策や地域での受け止め方という『空間の格差』を意識した政策が必要で、その部分に一番関心を持っています」

     

    『空間の格差』ですか。

    「『人の格差』というのは福祉政策になるのですが、生まれ持ってハンディのある方や障碍のある方に対して税金を使って財政的な支援をしていくことで皆が幸せで豊かな生活を送ることができることは大事だという認識はありますし、人類の原理だと思います。同じように、地域にもハンディがあるのであれば一定の支援を行っていく……もちろん、過度な支援はダメですが(笑)、国全体・地域全体でバランスを取りながら豊かに暮らしていける状況を作ることは大事なことだと思います。しかし、『人の格差』に関する政策への関心は高いのですが、『空間の格差』に関する政策への関心は特に日本では希薄なんです」

     

     

    北海道開拓の原点で『北海道開発政策論』を伝える

     

    地域格差についての捉え方・見方の認識ですね。

    「私は以前、行政機関の中で地域開発や国土計画に関わってきて、17年前に大学に身を転じたわけですが、国の政策の現場を外れて地方の立場から政策の在り方を見るようになりました。地方の活性化に対する関心は変わっていないのですが、4年半前に北海道大学公共政策大学院に来て、改めて地域政策の研究を進めています。学生たちに直接、地域開発政策の在り方を伝えていこうと。ここに来てから、『北海道開発政策論』という、北海道という地域が持っている開発政策の経験を伝える講義を始めました。私は中央アジア地域の発展・成長のお手伝いもしているのですが、地球規模での活動をしていくと、実はここ北海道が世界で類を見ないスピードで近代国家として発展した地域だということがわかるんです」

     

    それはどのような意味なのでしょうか?

    「北海道が明治政府によって開拓され始めたのが今から150年ほど前ですが、そのときの人口は5万人前後でした。その後、開拓使、内務省北海道庁、北海道開発局という国の総合的な開発政策の中で1世紀……100年で人口規模が500万人になり、経済規模ではヨーロッパの中堅国家並みのGDP(国内総生産)に成長しています。100年間でここまでの発展を遂げた地域というのは先進国の中でもないわけで、地域開発の奇跡的なモデルとして、北海道は世界から見られているんです。発展途上国における政策でも北海道の経験をお伝えしているのですが、北海道の中ではこの地域の経験を伝えるという意識が非常に低いのが残念な部分ではあります。明治政府は北海道を発展させるために最初に手掛けたことは何なのか……それは『人づくり』でした。北海道大学の前身である札幌農学校に、クラーク博士を始めとする世界の知恵を集めました。そういう意味では、この大学は北海道開拓の原点なんです。しかし、今お話ししたような北海道開発政策を伝える講座がなかったんですよ。私は残された人生のミッションとしてそれらの政策を次の世代に伝えていきたい……それがこの大学に来た理由です。私は今年で68歳になったので、今年度が常任の教授として教えるのは最後になります。本来は63歳で定年、特任でも65歳までなので、特例中の特例の3年間でした」


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