【地方創生・北海道】北海道の郊外だからこそ可能だった純粋培養…染谷昇・ソメスサドル社長(後編)

0

    首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのように先代からの伝統を引き継ぎながら、新たな事業展開を図っているのでしょうか?そこで、北海道札幌市に住む筆者が北海道の企業の社長や団体の代表者に「地方創生」について伺っていきます。

     

    今回は北海道砂川市(札幌市から高速道路から北上すること1時間)から日本全国、そして世界へ羽ばたく皮革メーカー・ソメスサドル株式会社の染谷昇社長にご登場願いました。1995(平成7)年に、創業の地・歌志内市から砂川市に工場を移転すると同時にショールームを開設。その広大な土地を活かし、多くの人が集まる恒例イベントも開催されています。後編では、ソメスサドルがなぜ地方で発展してきたのか、その秘密を染谷社長に伺いました。

     

     

    価値観を共有しものづくりができることが財産

     

    馬具職人が一般の革製品を作ることになると、どのような変化があったのですか?

    「最初は、可能性を感じてくれるクリエイターや百貨店のアドバイスを受けるところからスタートですよね。ただ形を作るだけではダメで、機能美やライン・デザイン性を少しずつ向上させてきました。それと馬具はあぐらをかいてすべての道具がすぐに手が届く場所で制作するのが常識で、バッグを作るにはそれでは生産性が悪いわけです。まず作業テーブルがあって、立って作るというのが大前提になります。その意識を変えるだけでも相当なエネルギーを要しました。「何で俺たちがバッグを作らないといけないんだ」という、職人独特の想いもありましたから。それを切々と将来に対する重要性を説いて、社員に対してメッセージを送り続けてきました」

     

    それは大変な作業だったと想像します。

    「あと馬具を作る厚い革は無骨なものですので、一般の革製品とはマッチングしない部分もたくさんあるんです。真面目に作ろうとすればするほどそういうものになってしまうので、それを洗練されたものに変えるには、工場の生産体制の変化と意識改革、感度の良い方の目に留まることが必要でした。ハイセンスなクリエイターに認めてもらうのは、相当ハードルが高かったですね。当時の高級百貨店、一世を風靡していたブランドに自社の製品を持って行って、けちょんけちょんに言われようとも徹底して続けたんですよ。泣きたくなるようなこともたくさんありましたけど、このプロセスを経ないと明日はないという思いでしたので、会ってもらえるだけでもめっけもんという気持ちでしたね」

     

    技術を活かしつつも、ゼロからスタートする部分もあったんですね。

    「引き抜きなんかできる次元ではありませんでしたし、社員一人採用するのも一苦労でしたから。なので、自社で育てたわけです。革という素材は生き物ですから、精神性が高いんですよね。人の心の内面を豊かにする温かさを持ち合わせています。その部分を引き出す役割が、私たちに課せられているんだなと。丁寧に丁寧に思いを持って手を掛ける。その結果として完成する革製品は、時代が変わっても普遍的なものとして存在するのかなと。だからこそ、生きながらえてきたのかなとも思います。そのような価値観を共有しながら、ものづくりという専門性の高い分野で私たちの価値を認めてもらうこと…自前でものづくりができる体制があることが、財産になっています」

     

     

    大消費地から距離が離れているからこそ純粋培養が可能だった

     

    1995(平成7)年に歌志内から砂川に工場を移設、ショールームを新設されました。

    「本社・工場機能がここにあるのは…デメリットを上げればキリがなかったんです(笑)。一例をあげると、専門のミシンが壊れると東京・大阪に送らないといけませんから。それを自前の職人たちが覚えて、大体の故障は直せるようになりました。砂川に工場を移したのは、職場環境の改善が理由です。歌志内の工場は味があるんですが、若い方が働くにはレトロ過ぎるので(笑)。若い社員を採用するにあたっての環境整備の一環ですね。あとは作った製品を自らの手で販売する…ECサイトもそうですが、エンドユーザーさんとの接点は必要だと感じていました。良くも悪くもダイレクトに意見をいただけますので、それらを受け止めることがブランド力につながるのだろうなと思います。見方を変えれば、純粋培養ができる地域なんです」

     

    大消費地から距離が離れていることが、純粋培養につながるんですね。

    「皮革の業界というのは、ベルトであればベルト、バッグであればバッグしか作らない・作れないんです。分業化されていることが業界の常識だったんですが、私たちはこの土地で作れるものは全部ノリで作って来た部分もあるんです。これがいつのまにか、ソメスイズムの素地…企業のカラーになったんですよね。これは、業界の常識や同業他社さんからの影響を受けずに打ち込んできたことが大きいんです。砂川は決して便利な場所ではないですが、ここまで来ていただけるお客さんがいることには当事者がいうのもなんですが凄いことだなと思います」


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
    1234567
    891011121314
    15161718192021
    22232425262728
    293031    
    << July 2018 >>

    Info

    Twitter

    Facebook

    Amazon

    Info

    selected entries

    categories

    archives

    recent comment

    recommend

    recommend

    recommend

    recommend

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM