【地方創生・北海道】馬具メーカーとしての限界を感じ一般的な皮革製品へ…染谷昇・ソメスサドル社長(前編)

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    首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのように先代からの伝統を引き継ぎながら、新たな事業展開を図っているのでしょうか?そこで、北海道札幌市に住む筆者が北海道の企業の社長や団体の代表者に「地方創生」について伺っていきます。

     

    今回は北海道砂川市(札幌市から高速道路から北上すること1時間)から日本全国、そして世界へ羽ばたく皮革メーカー・ソメスサドル株式会社の染谷昇社長にご登場願いました。1964(昭和39)年に、歌志内市の企業誘致の中で誕生した馬具メーカー・オリエントレザー株式会社を前身とし、1986(昭和61)年に現在の社名に改称。その後工場製造機能を砂川市に移転し、発展を遂げてきました。 現在では国産の高級皮革メーカーの一角を担う同社ですが、その道のりは平たんなものではありませんでした。前編では、ソメスサドルが辿って来た歴史について染谷社長に伺いました。

     

     

    オイルショックをきっかけに大打撃を受けた

     

    染谷さんはソメヤサドル発祥の地・歌志内市で生まれ、東京の大学に進学されたんですよね。

    「自ら東京を選びました。大学卒業後に歌志内に帰ってくるという選択肢もあったのですが、ずっと東京を拠点に生活していました。ソメスサドルの前身である馬具の輸出をしていたオリエントレザーという会社がありまして、これは歌志内の炭鉱が閉山になったことで誕生した企業なんですが、いわゆるオイルショックで大打撃を受け立ち行かなくなってしまったんですね。それが、大学4年生になるときです。ちょうど私の父が3代目の社長(染谷さんは5代目)になったときでもあって、この父の社長就任が私を東京に留まらせました」

     

    あえて歌志内から離れた場所での生活を選んだということですか?

    「会社を存続させるにしても、馬具の販売先は輸入がほぼ100%ですから、父は何を考えているんだという思いと、近い将来国内の販売先にシフトチェンジするのであれば、東京がマーケット・情報収集の中心になるだろうと。そして歌志内という郷里に対する強い想いですね。炭鉱の全盛期は相互扶助が働く素晴らしい場所だったのですが、閉山してからは知り合いも散り散りになってしまって。当時の同級生がどこにいるかもわからないですから。そのような経緯でできた企業が、経済の荒波の中また再構築を余儀なくされたことから、偶然東京にいる私が役に立てることがあるんじゃないかという思いが沸々と湧いてきまして、東京からひとりでオリエントレザーを日本全国の馬に関わる場所に売り込みをスタートしました」

     

     

    国内を回ってわかった馬具メーカーとしての限界

     

    輸入中心だったものを国内に目を向けたわけですね。

    「体力だけはありましたから、全国津々浦々回りましたね。営業というよりは行商でした。いや、行商にもなってないかな(笑)。ただ家族や故郷の役に立とうという志は高かったので、揺るがないでできたんでしょうね」

     

    当時の馬具はどのようなマーケットだったんですか?

    「昭和30年代後半は日本各地に馬具メーカーはあったんですが、円・ドルが変動相場制になったことで円高が進み、オリエントレザーだけがかろうじて生き残ったんですよね。ただ、日本全国を回って馬具に関しては望むべきものは何もないことがわかりました。馬具だけ作っていてもだめになるぞということを体で感じたんですね。そこで、馬具を作る職人たちを革製品の世界で活かすことができるだろうかと考えたときに、ヨーロッパにはエルメスをはじめとする馬具からスタートしたブランドがありましたから、その可能性に賭けてみようと思いました。馬具の製造・販売をやりつつも、一般の革製品を製造する技術を得て両建てができるような企業になろうと。今にして思えば、その考えは間違っていなかったようです」

     

    1986(昭和61)年にソメスサドルという社名に変更されたんですよね。

    「『ソメス』というブランドの商標登録も同じ年に行いました。私の友人がフランス語が堪能でして、フランス語で「最高」を意味する「sommet」から取りました。実は社名変更は考えていなかったんですが、「最高の鞍」という意味になる造語のソメスサドルに社名も変えました。染谷なので『ソメス』と思われることが多いんですが、実は偶然なんです(笑)。この辺りを境に、『ソメス』というブランドでの商品開発が盛んになりました」


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