【地方創生・北海道】地域のストーリーを伝えていくのが地方創生…池田光司・池田食品社長(後編)

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    首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのように先代からの伝統を引き継ぎながら、新たな事業展開を図っているのでしょうか?そこで、北海道札幌市に住む筆者が北海道の企業の社長や団体の代表者に「地方創生」について伺っていきます。

     

    今回は札幌市白石区に工場・直営店を構える池田食品株式会社の池田光司社長にご登場願いました。1948(昭和23)年創業の会社ですが、池田さんが2代目社長に就任したのが1984(昭和59)年。以後、製品作りはもとより人材育成にも注力してきたといいます。後編では、池田さんが考える人材育成と地方創生のつながりについて伺いました。

    ※取材当日が節分イベントだったため社員全員が鬼のかつらを被っていて、池田さんも社長自ら青鬼に扮しているタイミングでのインタビューでした。

     

     

    これからの時代は人が物語を作っていく

     

    赤字が出たタイミングで、社員の士気を上げる方法とは何なのですか?

    「私は、土地や建物より社員や技術のほうが重いと思っています。5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣(一般的には躾))を徹底しながら、OJT・研修・地域貢献に参加し自らが講師になる…思いを伝えられるように発表の機会を増やしました。これからの時代は、人が物語を作っていくと思うので、機械だけでなく人材育成にも投資をしています。そういうストーリーを社会が見てくれる時代になると、地域の活性化につながると思います」

     

    地域のストーリーは、地域で作られるということですね。

    「私たちの後ろには、必ず北海道という土地があります。北海道の人たちが関われる仕事をしていきたい、北海道に必要とされる企業でありたい…やはり、農業は大事ですね。北海道は食の基地として、肥沃な土地や食べ物の安心・安全を維持する努力が必要だと思います。土を大事にしながら作物を育て、そのことを私たちが伝えていく…それが、私たちができる地方創生だと思います」

     

    北海道の自然の豊かさも伝えていくと。

    「今、一代限りで発芽しなくなってしまう豆の種が出て来て、その種を育てるためには特別な農薬が必要で、というような世界戦略がありますが、そういう戦略に乗らず手間暇かけて土地を守っていくということが長い目で見ると大切だと思います」

     

     

    しきたりをどんどん変えられるのが北海道の良さ

     

    ところで、私は御社のお菓子を贈り物として利用させていただいていますが、「選べる熨斗」があって、その中には感謝の言葉が書かれていますよね。

    「数年前に『御歳暮』『御中元』というような決まりきった言葉ではなく、『感謝』という言葉を熨斗に入れたことがあるんです。それがいつの間にか、私への贈り物の熨斗に『感謝』『ありがとう』というものが増えて来て、すごく嬉しかったんですよね。これは北海道の文化だなと思いました。こういったしきたりをどんどん変えていくことができるのが北海道の良さだと感じています」

     

    北海道ならでは、ですね。

    「しきたりの上に成立させるのではなく、自分たちで作ったものを広めていこうという地域なのではないでしょうか。北海道は、自分たちで文化を作ることができる土地だと思いますね」


    【地方創生・北海道】社長就任後3度の赤字を乗り越える…池田光司・池田食品社長(前編)

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      首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのように先代からの伝統を引き継ぎながら、新たな事業展開を図っているのでしょうか?そこで、北海道札幌市に住む筆者が北海道の企業の社長や団体の代表者に「地方創生」について伺っていきます。

       

      今回は札幌市白石区に工場・直営店を構える池田食品株式会社の池田光司社長にご登場願いました。1948(昭和23)年に池田さんの父である先代の社長が創業した会社ですが、乾物の卸問屋からスタートし創作豆の製造へとシフトしています。1997(平成9)年から現在の工場・直営店が稼働し、直近の5年間は売上も順調に推移しています。

       

      しかしながら、池田食品は過去3度の大きな赤字に見舞われています。前編では、その3度の赤字とそこからの回復について池田社長に伺いました。

      ※取材当日が節分イベントだったため社員全員が鬼のかつらを被っていて、池田さんも社長自ら青鬼に扮しているタイミングでのインタビューでした。

       

       

      入社前に大阪で修業してきたのが大きかった

       

      池田食品は来年開業70周年を迎えます。

      「父が創業した会社なのですが、1970年代後半に父が病気になったこともあり、本州から戻ってきました。私が社長になったのは1984(昭和59)年なのですが、東京で食品の営業を5年ほど、大阪で豆の製造現場を2年弱経験してから戻って来て、3年間父に付きっきりで会社経営の勉強をしました。その3年間は本当に大きかったですね」

       

      池田さんが社長になられたときはどのような状況だったのですか?

      「父は乾物の問屋をやっていたのですが、創業してすぐにメーカーに転じます。乾物は収穫によって左右される業種なので、当時扱っていたピーナッツを使った創作豆の製造を始めました。やはり、メーカーの強さというのを感じたんだと思います。最初は千葉県の落花生を使用してピーナッツを製造していました。当時はすすきのの近くに会社があったので、すすきのの繁華街で商いが成立していたんです。それがだんだん国内産の落花生が高騰してきまして、中国からの原料に切り替えました。ところが、私が入社してすぐ…1980年代から流通革命とエイジレス(脱酸素剤)の登場で、加工技術は高くないのですが原料ではなくバターピーナッツの製品が入ってきてしまったんです。結果、私の代になってから父が3億円かけて作った設備を破棄して、私が大阪で学んできた創作豆に製造に力を入れていくことにしたんです」

       

      それは凄いタイミングだったんですね。

      「当時は落花生を加工したピーナッツが主流だったので、創作豆はあまりやってなかったんです。入社前に大阪に修業に行っていなければ、今この会社はなかったでしょうね。そこから商品を増やしていって、今に至るという感じです。」

       

       

      3度の大きな赤字を乗り越えて今がある

       

      大きな転換期を乗り越えて、今があるんですね。

      「以前は流通が整備されていなかったこともあり、競合は北海道内の同業種だけだったのですが、北海道も本州も関係なく流通できる時代になり本州の企業との戦いも出てきたわけです。それに対抗するためには北海道らしい商品を作らなければいけないということで、北海道産の原料を使用した商品を増やすことになりました。また私の娘が後継ぎとして入社してから、OEM(他社ブランドの製品の製造)を全部断ることにしました。10億円あった売り上げが半分になったんですが、自社ブランドだけで生きていこうと決意したんです。直営店を設けたのもその一環です」

       

      池田さんはその決断に対して反対しなかったんですか?

      「反対はしませんでしたが、一抹の寂しさはありました。しかし、工場で働く社員からは、どんなに忙しくても自分たちのブランドだったらやりがいがあるという声を聞いていたんです。OEMは、経営者のための業務なんですよね。社員のためには、自社ブランドを高めることで企業力を高めて、自分たちが豊かになるということが正解だと思います」

       

      直営店の存在は大きいんですね。

      「お客様から直接意見を伺えますしね。これまで、この会社は3度大きな赤字を出しているのですが、忘れないようにと名前をつけました(笑)。中国の製品が入って来て設備を破棄したときの「中国赤字」、そこから立ち直って流通革命で本州企業との戦いになったときの「流通赤字」、そしてOEMをやめたときの「決別赤字」…赤字を乗り越えては赤字でした。父が財産を遺してくれていたのは助かりましたが、同時に仕組みを変えながら社員を引っ張っていくことができたのが大きかったですね」


      【地方創生・北海道】ICTによる地域創生のためのソリューションとは...北海道 経済・観光イノベーションフォーラム(第5回/最終回)

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        首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

         

        今回は1月17日・火曜日に開催された「北海道 経済・観光イノベーションフォーラム2017 〜観光と他産業による新たなビジネスチャンスを探る〜」(主催/経済産業省北海道経済産業局、日本経済新聞社札幌支社、株式会社JTB北海道)のレポートを、登壇者ごと5回に渡ってお送りします。

         

        最後の登壇者は、パナソニック株式会社東京オリンピック・パラリンピック推進本部の田中晴美さん。「観光×ICT 訪日外国人客への新たなソリューション・サービス」と題した講演を行いました。

         

         

        ソリューション力を地方創生のためにフル活用する

         

        現在パナソニックでは、1988年のカルガリーオリンピックから16大会に渡ってトップスポンサーとしてワールドワイドパートナー契約を結んできました。現時点で2020年の東京オリンピックまでスポンサードすることが決まっています。特徴としては、日本企業としては初めてパラリンピックのワールドワイドパートナー契約を結んでいることです。

         

        パナソニックが貢献しているのは、大型映像とAVソリューションシステム。LEDを採用した大型映像表示装置の提供と、オリンピック開会式時のプロジェクションマッピングなどが挙げられます。

         

        また、オリンピックは都市力を大きく向上させる可能性があると考え、パナソニックが持つソリューション力をフル活用することで地方創生に役立たせようとするものです。ICT技術によるソリューションで、パナソニック流の「おもてなしソリューション」を展開していきたいと考えています。

         

         

        他業種とのコラボレーションでもICTを活用

         

        東京オリンピックに関しては、交通利便性・アクセシビリティ・環境への配慮・コミュニーション・決済・安全・防災などの課題が挙げられています。そしてその課題を解決し、障碍者や超高齢化に対応した社会を築かなければなりません。そのために、パナソニックでは「5スマート・ネクスト3」という提案活動を行っています。

         

        具体的には、さまざまなシーンで自動翻訳を提供するメガホン型多言語音声翻訳サービス「メガホンヤク」、カメラを活用して母国語へ情報を変換するスマートフォンアプリ「光ID」(2月に開催されるさっぽろ雪まつりで実証実験を行う予定)などを検討中です。すでに導入された事例としては、観光案内用デジタルサイネージ(東京都)があります。

         

        また、JTBとの共同で訪日外国人観光客がストレスなく快適な旅を満喫できる環境整備を通じ、継続可能な新たなビジネス機会の創出を行っています。訪日外国人観光客の二大課題といわれているのが、「多言語コミュニケーション」と「大型荷物の持ち運び」です。この課題を解決するためのサービスとして、「LUGGAGE-FREE TRAVEL」というサービスを立ち上げました。海外で事前申し込み(JTBのサイト内で)をし、空港やホテルの端末で伝票を発行(クラウドサービスをパナソニックが開発)、手ぶらで日本観光が楽しめるというものです。

         

        今後はモビリティ・シェアリングや保険・検疫などにもソリューションを展開し、ICTを活用した地域サービス提供のプラットフォームを確立していきたいと考えています。


        【地方創生・北海道】見逃されてきた地域資源を発信...北海道 経済・観光イノベーションフォーラム(第4回)

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          首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

           

          今回は1月17日・火曜日に開催された「北海道 経済・観光イノベーションフォーラム2017 〜観光と他産業による新たなビジネスチャンスを探る〜」(主催/経済産業省北海道経済産業局、日本経済新聞社札幌支社、株式会社JTB北海道)のレポートを、登壇者ごと5回に渡ってお送りします。

           

          4番目の登壇者は、岩見沢市経済部観光物産振興課の戸沼貴志さん。「岩見沢市の観光振興への挑戦 〜岩見沢市『新・観光ディスティネーション宣言』〜」と題した講演を行いました。

           

           

          観光におけるSWOT分析を行い戦力的な事業展開を目指す

           

          岩見沢市は札幌から車で北へ1時間ほど行った場所にある人口8万人強の町で、これまでは「観光地」としての知名度はそれほど高くはありません。基幹産業は農業で、現状の課題は人口の減少となっています。

           

          北海道の訪日外国人旅行者数は、2015(平成27)年に1973万人と、前年比で47.1%の大幅増を達成しましたが、岩見沢はその「恩恵」を受けることはありませんでした。そこでSWOT分析を行い、岩見沢の強み・機会を洗い出しました。

           

          強みとしては、ヨーロッパに似たのどかな自然風景や札幌・新千歳空港からのアクセスの良さ、豊富な農産物と果樹園が挙げられました。そして、機会としては札幌・小樽間という定番観光ルートの飽和化があります。

           

          これらを把握したうえで戦略的に観光事業を展開していく…岩見沢ならではの「新・観光ディスティネーション」を目指すことになりました。

           

           

          旅行会社とのコラボレーションで観光事業を展開

           

          現在は市長をトップに、時代に合わせた事業を行っています。2015(平成27)年度からJTB北海道とコラボレーションし、観光マーケティング・ブランディング戦略を策定。「農業」「ワイン」「スノー体験」「歴史」「エンターテインメント(ロックフェス・遊園地)」という5つの資源を武器に、その魅力を道外の観光客・アジアの富裕層に伝える戦略を、3年間に集中して展開します。

           

          具体的には、JICA研修生が参加した農家体験ツアーやワイン・フードのモニターツアー、台湾へのトップセールスなどをすでに実施しています。

           

          ふるさと納税は1億円を超えるなど好調を維持していますが、今後は「市民のための活動」と「観光客のための活動」の両方を行えるようスタッフを増員、寄付や助成金に頼ることなく「自ら稼げる観光協会」を目指していくことになります。2016(平成28)年には観光協会のホームページを一新、地元のイベントを紹介するだけではなく、これまで見逃れてきた岩見沢の価値を発信するサイトへと進化しました。

           

          3年間という期限を区切って観光産業の振興に乗り出した岩見沢が、地域の観光事業の活性化のロールモデルになるかもしれません。


          【地方創生・北海道】旅行業から交流文化事業へ...北海道 経済・観光イノベーションフォーラム(第3回)

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            首都圏への人口・商業施設の集中からの脱却を図る「地方創生」が叫ばれる中、地方の企業はどのような事業展開を進めるべきなのか、北海道札幌市に住む筆者が北海道で開催された「地方創生」に関するイベントのレポートを行っていきます。

             

            今回は1月17日・火曜日に開催された「北海道 経済・観光イノベーションフォーラム2017 〜観光と他産業による新たなビジネスチャンスを探る〜」(主催/経済産業省北海道経済産業局、日本経済新聞社札幌支社、株式会社JTB北海道)のレポートを、登壇者ごと5回に渡ってお送りします。

             

            3番目の登壇者は、株式会社JTB北海道観光マーケティング戦略室の萩野隆二さん。「JTBが進める新たな事業戦略 〜JTB北海道の訪日インバウンドと地域活性化事業について〜」と題した講演を行いました。

             

             

            46年ぶりに「日本→海外」「海外→日本」が逆転

             

            10年ほど前から、JTBでは「旅行業」から「交流文化事業」へのイノベーションを進めています。1950年代から右肩上がりを続ける観光市場、2010年に9億4000万人ほどの国際観光客数は2030年には18億人に達するといわれています。

             

            しかし国内宿泊観光については、一人当たりの宿泊数・回数共に減少傾向、市場のシニア化がどんどん進んでいます。そして2016年には大阪万博のあった1971(昭和46)年以来45年ぶりに訪日外国人旅行客数(1973万人)が日本人海外旅行者数(1621万人)を超えました。

             

            そのような市場の変化が起こる中、ExpediaのようなOTA(オンライン旅行会社)がトップに立つなど、旅行業界全体がイノベーションの必要に迫られています。 そこでJTBは、「地球を舞台にあらゆる交流を創造する」交流文化事業を推進しています。JTBが開業から100年(ロシア戦争後に国策会社としてインバウンドのために立ち上がった)の間に旅行・環境分野で培ってきたDNAを核とした事業の拡大です。

             

            事例として「観光×食農」「観光×環境」「観光×グローバル」「観光×地域活性」「観光×ICT」が紹介されましたが、その特徴は社会課題の解決と事業の両立を目指していることです。そのためには、自社で完結するのではなく官民連携・他産業とのアライアンス型への進化を模索しています。

             

             

            他産業とのコラボレーションに活路を見出す

             

            具体的には、地域の生産者と旅行者をつなぐプロデューサー(観光客向けの農家や野菜ソムリエ)を育成する「Food Tourism」の推進、エコエネルギーを活用した「EVモビリティ観光」の事業化、ツーリストインフォメーションセンター(TIC)の全国ネットワーク化、インバウンド向け夜間エンターテインメント事業の開発などです。

             

            その中で北海道では、札幌の中心部を横断するアーケード街・狸小路に訪日外国人向けの観光案内所を設置したり、北海道産のアルコールの認知度アップを目指す「北海道パ酒ポート(パシュポート)」というグローバルビジネスに挑戦したりしています。すでにスペインの高級リゾート地であるイビサ島への輸出が開始されるなど、効果も出始めています。

             

            このように、北海道の地域の宝を世界に発信することで、旅行業から交流文化事業へのイノベーションを行うなど、既存事業だけではなく新たなビジネスの取り組みが必要な時代に突入しています。


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