Living in Sapporo(10)「大学講師のイタリア人から見た札幌」後編
200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。そこで北海道在住の筆者が、在札幌の外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」の不定期連載をスタート。第10回目後編では、イタリア出身のイタリア語教師マリアンナ・チェスパさんに北海道・札幌の魅力を伺った。 ※前編はこちら
日本語とイタリア語、北海道とイタリアの違い
日本語とイタリア語は全然違いますが、一番苦労するのは「時制」です。これは英語も一緒なのですが、イタリア語では「過去のことは過去形を使う」ということです。
例えば、「昨日、花火大会に行きましたか?」という質問に対し、日本語で否定する場合「いいえ、行っていません」「いいえ、行きませんでした」という2種類の答えがありますが、イタリア語では「いいえ、行きませんでした」だけです。この部分に慣れることが一番難しいようですね。
あと、私は北海道とイタリアは「色」が違うと思っています。この「色」というのは、季節を表す色です。実は昨年、ミラノで開催された万博の日本館の一員として、北海道庁からの依頼を受けて同行しました。そこで、日本の素晴らしさについて講演をする機会があったのですが、自分で撮影した札幌や網走の写真とともに、季節の色の違いについてお話ししました。
イタリアの春夏秋冬を色で例えると、順に「緑(新緑)・濃い青(海と空)・茶(枯葉)・グレー(雲)」ですが、北海道は「ピンク(桜)・薄い青(空)・赤と黄(紅葉)・白(雪)」だと思います。イタリアの秋と冬はあまり綺麗ではないので、北海道の秋冬の色彩は本当に素晴らしいですし、この北海道の季節の色彩は、世界中を見渡してもなかなかないのではないでしょうか。
札幌でいえば、北海道大学のイチョウ並木と中島公園・円山公園の雪景色が特に好きで、よく散歩に出かけています。
日本人のお酒の飲み方にびっくり
日本での生活でびっくりしたのは、お酒の飲み方ですね。皆さん、よく種類の違うアルコールを一緒に飲めるなと思います。イタリアでは、ピザにはビール、肉料理には赤ワイン、魚料理には白ワインで、それらを同時に食べる・飲むということはあまりありませんし、あくまで「食事を楽しむための」アルコールというのがイタリアの考え方。日本の居酒屋では、最初にドリンクのオーダーを聞かれますが、食べるものが決まってないうちにお酒を選べないのがイタリア人なんです(笑)。
私は大学で先生をすることが夢だったのですが、ありがたいことに札幌の大学でイタリア語を教える仕事に就くことができました。日本でイタリア語を教えるということは、本当に日本語に詳しくないとできないことだと思うので、当分の間は札幌で暮らしていくつもりです。行きつけのお店の人も優しい人ばかりですし、コンビニでお弁当を買ったときに観光客だと思われて(日本語を話せないと思われて)、「あ・た・た・め・ま・す・か?」とゆっくり話してくれる店員さんに出会えたのも札幌です。冬は歩くのが大変ですが、札幌は本当に住みやすい街だと思いますね。
- 2016.08.04 Thursday
- LiS
- 12:30
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- by Ryogo Hashiba